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東日本大震災及び原子力発電所事故による被災者への「法的支援事業」特別措置法の制定を求める会長声明

当会は、東日本大震災及び原子力発電所事故発生直後から、日本弁護士連合会、各地の弁護士会、弁護士会連合会から支援を受けながら、被災者の支援活動を行ってきた。これまで当会において行ってきた法律相談は既に4,500件を超えている。

その中で、現在の総合法律支援法に基づく被災地での法的支援には、大きな限界があることが判明した。

総合法律支援法1条は、裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに、弁護士、司法書士等のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援の実施を目的とすると定め、同法4条において、民事法律扶助事業を、資力の乏しい者にも民事裁判等手続(裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)の利用をより容易にするものと位置づけ、利用のための資力要件を課している。

しかし、震災、津波、そして原子力発電所事故による被災者の支援の場面においても、被災者に対して資力の有無を申告させ確認することは、被災者の苦しみへの配慮を欠くものと言わざるを得ない。

また、当会の原子力発電所事故被害者救済支援センターにおいては、報酬の目安の中で着手金については事件終了時まで支払を猶予できると定めているのに対し、民事法律扶助ではそのような猶予規定がない。

このような問題は、現在の民事法律扶助事業において、東日本大震災及び原子力発電所事故の被災者に対する支援事業を正面から認めていないことによるものである。

総合法律支援法の趣旨によれば、日本司法支援センターが、被災者についてその資力の状況にかかわらず訴訟代理、書類作成、法律相談等に係る援助の業務を行うものとし、被災者が裁判その他の法による紛争の解決のための手続及び弁護士等のサービスを円滑に利用できるよう促進すべきである。

以上のような事情から、日弁連は、東日本大震災及び原子力発電所事故の被災者支援のため、(1)資力で被災者を選別しない法的支援事業の創設、(2)民事裁判に限定されない柔軟な支援の実現、(3)報酬及び実費にかかる償還及び支払の猶予などを内容とする「法的支援事業」特別措置法の制定を求めてきた。国会においても被災地における法的支援の重要性を踏まえ、すでに閉会した第179回臨時国会での議員立法による成立を目指してきたが、時間的制約などから成立には至らなかった。

来年早々に招集が予定される次期通常国会においては、その冒頭ないし早い時期に本特別措置法が制定され、一日も早く東日本大震災及び原子力発電所事故の被災者のニーズに応じた法的支援が実施できることを求めるものである。

2011年(平成23年)12月28日
福島県弁護士会
会長 菅野 昭弘

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