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復興庁参事官によるツイッターへの不適切な書き込みに強く抗議し、 原発事故子ども・被災者支援法の趣旨に忠実な基本方針の早期策定 及び具体的施策の実施を求める会長声明

福島県及び福島県民は、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「本件原発事故」という)により、本件原発事故から2年以上が経過するも未だ多数の住民が避難を余儀なくされ、避難の有無にかかわらず、本件原発事故後も福島県内に生活する極めて多数の福島県民は、目に見えぬ低線量放射線被ばくの恐怖と謂れなき差別への不安による心理的負担や、放射線防護のための心理的・肉体的・経済的負担等を余儀なくされている。

かかる状況の下、昨年6月21日に成立した「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、「子ども・被災者支援法」という)は、福島県及び福島県民の本件原発事故による甚大な被害からの復興のための一筋の光明として、その基本方針の策定及びこれに基づく具体的施策の実施に大いなる期待を抱かせるものであった。

ところが、本年6月13日、子ども・被災者支援法を担当する復興庁の参事官が、ツイッター上で、被災者(被害者)や支援者、国会議員らを誹謗中傷するなどの不適切な内容の書き込みを繰り返していたことが発覚した。

当該参事官は、市民や国会議員が支援法に関して催した多くの会合に復興庁を代表して出席し、被災者(被害者)の生の声を聴くなどして、子ども・被災者支援法の理念に基づいて被災者(被害者)に寄り添う具体的施策の策定に尽力していると考えられていたが、本年3月8日には、「今日は懸案が一つ解決。正確にいうと白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」と課題の先送りを是とするかのような書き込みを繰り返した。このような書き込みにあるような認識の下で業務に当たっていたのであるとすれば、それは被災者(被害者)に対する著しい背信行為であるといっても過言ではない。

本来、被災者(被害者)のおかれた実情を理解し、子ども・被災者支援法の理念に基づいて活動すべき復興庁の職員がこのような背信行為に及んだ背景には、復興庁全体に今回の書き込みが許されるような雰囲気や体質があり、福島の真の復興に向けた強い意志を有していないのではないかと疑念を抱かざるを得ない。

また、当該参事官が子ども・被災者支援法の基本方針の策定において、重要な役割を占めていたことからすると、本件問題は同参事官の資質の問題にとどまらず、子ども・被災者支援法の基本方針の策定に対する政府の姿勢も問われなければならない。

復興庁は、本件問題の発覚の翌日に根本復興大臣によるお詫びの意を表するとともに、当該参事官の更迭及び停職30日の懲戒処分、事務次官らへの戒告処分、根本復興大臣の給与1カ月分の自主返納などの対応を行ったものであるが、政府及び復興庁が果たして子ども・被災者支援法の理念に沿った基本方針を真摯に策定するつもりがあるのか、また、課題の先送りを是としているのではないかという疑念が完全に払しょくされたとは言い難い。

当会は、本件原発事故により、もっとも大きな被害を受けた福島県の地元弁護士会として、子ども・被災者支援法が真に実効性のあるものとなるよう、本年2月16日の定期総会で「原発事故子ども・被災者支援法に基づき、全ての被害者の生活の質の回復を求める決議」を採択するとともに、同日、理事会で「原発事故子ども・被災者支援法に基づき求められる施策に関する意見書」を採択するなどしてきたところであるが、今回のような被災者(被害者)支援に取り組む市民団体、国会議員、地方自治体関係者らに対する誹謗中傷や、本件原発事故からの福島の真の復興に疑いを生じさせるような当該参事官の行動について、看過することはできない。

ここに、当会は、政府及び復興庁に対し、今回の復興庁参事官の不適切なツイッターへの書き込みに対し強く抗議をするとともに、上記疑念を払しょくし、今回の問題で失われた福島県民を始めとする被災者(被害者)らの信頼を回復するために、復興庁内部に子ども・被災者支援法の理念に沿った基本方針やこれに基づく具体的施策を検討する部署を新たに立ち上げ、福島県全域を支援対象地域に指定するなど子ども・被災者支援法の趣旨に忠実な基本方針を速やかに策定し、本件原発事故の被災者(被害者)が速やかに立ち直り、以前の生活の質を回復できるような具体的施策を実施するよう強く求める。

以上

2013年(平成25年)06月27日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

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