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集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明

政府は、集団的自衛権に対するこれまでの見解を変更し、その行使を容認する動きを加速させ、集団的自衛権の行使を明記した国家安全保障基本法を、早ければ今秋の臨時国会でも成立させようとしている。2013年(平成25年)8月14日付の報道によれば、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という)では、年内にまとめる報告書の中に、集団的自衛権を行使する対象国を米国以外にも拡大する提言を盛り込む予定とのことである。

これらの動きは、立憲主義の原則、憲法99条(憲法尊重擁護義務)、憲法前文(恒久平和主義)、憲法9条(戦争の放棄)に反し、許されないものである。

日本弁護士連合会は、第48回及び第51回人権擁護大会で、戦争は最大の人権侵害・環境破壊であり、平和的生存権及び憲法9条は極めて重要かつ先駆的な意義を持ち、憲法第9条は集団的自衛権行使を禁止していることを表明して来た。そして、政府は、集団的自衛権に関し、1981年(昭和56年)5月29日政府答弁書において「我が国が国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」と表明して、集団的自衛権行使を否定して来たもので、これが今日まで一貫した政府見解である。

当会は、政府が、「安保法制懇」の報告書をテコに、集団的自衛権の行使を容認すべく政府見解を変更しようとすることは、実質上の憲法改正に等しい行為であって、立憲主義、憲法尊重擁護義務、憲法前文、憲法9条に反し、許されないと解するものであり、これに強く反対するものである。

加えて、集団的自衛権の行使を明記した国家安全保障法案を成立させようとすることは、憲法上許されていない集団的自衛権の行使を下位法である法律で認めてしまおうとする極めて強引な手法であり、法の支配、立憲主義を無視する、看過できない暴挙と言わなければならない。

よって、当会は、政府が集団的自衛権について見解を変更し、その行使を容認すること及び集団的自衛権の行使を明記した国家安全保障法案を成立させようとすることが、日本を再び戦争の惨禍に導く危険をはらみ、かつ、立憲主義、憲法尊重擁護義務、憲法前文、憲法9条に反し、許されない行為であることを表明し、国に対し、憲法99条の憲法尊重擁護義務を堅持し、立憲主義の原則、恒久平和主義、戦争の放棄、基本的人権尊重の理念の下に国政を運営されることを強く求めるものである。

以上

2013年(平成25年)9月24日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

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