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「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案」成立にあたっての会長声明

今般,「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案」が参議院本会議で可決,成立した。

本法律は,特定原子力損害(前記事故による損害であって原子力事業者が原子力損害の賠償に関する法律第3条1項の規定により賠償の責任に任ずべきものをいう。以下同じ。)に係る賠償請求権に関し,民法724条において①「3年間」とされている消滅時効期間を「10年間」に延長し,②同条において「不法行為の時から20年」とされているいわゆる除斥期間を「損害が生じた時から20年」とするものである。

当会は,4月22日付け「東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める会長声明」の中で「まずは民法第724条前段に定める3年の消滅時効の運用を排除する立法措置を講じるよう求め」ていたが,本法律は,この声明と軌を同一にするもので特定原子力損害に係る賠償請求権が3年の短期消滅時効により権利行使が妨げられる不都合を回避し,被害者の時効消滅に対する不安を払しょくするものとして高く評価できるもので,本法律の成立へ向け尽力いただいた関係各位に敬意を表する。

なお,本法律は,国の責任について触れるものではないが,原子力事業者である東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が被害者に対し賠償責任を負い続けるにもかかわらず,原子力政策を強力に推し進めてきた国の責任が消滅するものとすることは許されない。

また,本法律はけっして被害者救済の遅滞を許すものであってはならない。国および東京電力は被害者に対する早期かつ完全な賠償及び生活再建を速やかに実現させる責務を負っていることは言うまでもない。

当会は,今後とも,被害者の早期かつ完全なる賠償及び生活再建の実現に力を尽くすものであり,国及び東京電力に対しても,地方自治体に対し未請求者情報を早期に開示するなど賠償手続を円滑かつ迅速に進め,全ての被害者の早期かつ完全なる賠償及び生活再建を実現するようあらためて求めるものである。

以上

2013年(平成25年)12月5日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

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