特定秘密保護法案に反対する会長声明
国が扱う情報は,本来,国民の財産であり,国民に公表・公開されるべきものである。「特定秘密の保護に関する法律案」は,行政機関が秘密指定できる情報の範囲を広くかつ曖昧に設定し,かつ,運用の実態は第三者がチェックできない一方で,このような情報にアクセスしようとする国民や国会議員,報道関係者などのアクセスを重罰規定によって牽制するもので,まさに行政機関による情報支配ともいうべき事態である。
当会では,2012年(平成24年)10月5日に「『秘密保全法』制定に反対する会長声明」を発したところであるが,政府及び与党は,法案を慎重審議するどころかむしろ短期間で成立させようとしている様子さえ窺える。政府及び与党が我が国における法案の重要性を強く認識するのであれば,なおさら,国民の理解と納得を得られるよう,法案の内容を検討し直すべきである。
日本弁護士連合会も,本年11月15日,「特定秘密保護法案に反対し,ツワネ原則に則して秘密保全法制の在り方を全面的に再検討することを求める会長声明」を発したところであるが,そこでも述べられているように,①法案には誰もが公的機関の情報にアクセスする権利を有している原則が明示されていない,②政府が秘密にしてはならない情報が明示されていない,③政府が秘密指定を許される最長期間が定められていない,④市民が秘密解除を請求するための手続が定められていない,⑤監視機関に関する規定がない,⑥公益通報者が漏えい罪によって処罰される危険が極めて高いなどの問題があり,国民の基本的人権である言論の自由,プライバシー権が侵害されるおそれが高い。
よって,当会は,政府に対し,法案を一旦白紙に戻し,現存する国家公務員法や自衛隊法などの中に含まれる秘密保全法制も含めて,秘密保全法制の在り方を根本的に見直すことを求める。
以上
2013年(平成25年)11月18日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉