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東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から14年を迎えるにあたっての会長談話

東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から14年を迎えるにあたっての会長談話

 本日、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、「原発事故」という。)から14年を迎えた。亡くなられた被災者・被害者にあらためて哀悼の意を表するとともに、今なお引き続く被災者・被害者の苦しみにお見舞いを申し上げる次第である。

東日本大震災後、全国各地で、大規模な自然災害が発生しているが、特に、令和6年能登半島地震では、多くの人命が失われ、多数の方が自宅を失うなどの甚大な被害が生じた。また、長期化する避難生活の中で、高齢者を中心に多くの震災関連死まで生じていることは痛恨の極みである。福島県でも、原発事故後の強制避難・広域避難の中で、直接死を上回る数の震災関連死が生じてしまったことは記憶に新しい。改めて、福島県の経験を、他の被災地や、後世に伝えることの大切さを再認識する次第である。
また、令和6年9月21日には、令和6年奥能登豪雨も発生し、同地域は、地震のみならず、洪水による二重の被害も受けた。これらの甚大な被害は、地震・津波・原発事故、そして令和元年台風による洪水など、度重なる被害を受け続けてきた福島県民としては、到底他人事とは思えない。被災者の方に心よりお見舞いを申し上げるものである。

原発事故の損害賠償の分野においても、いまだに多くの課題が残っている。
水産業や観光業などの業種を中心に、現在も原発事故の風評被害の影響が色濃く残る。
また、現在、中間指針第五次追補を踏まえた東京電力による追加賠償が行われているが、第五次追補の決定まであまりにも長い時間が経過したことから、その間に相続が発生したり、成年後見の申立が必要であったり、離婚・生活の本拠の移転などにより生活状況が大きく変化している被害者も少なくない。追加賠償によって、家族間・親族間の紛争が誘発されるようなことのないよう、十分な対応が必要である。
他方、中間指針第五次追補の影響から、これまで容易に認められなかった損害類型も認められつつある。近時の原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続では、地元への愛着や地域社会への関りが強く、長期にわたり同地域に居住してきた高齢者などに対し、第五次追補における生活基盤変容慰謝料額以上の慰謝料が認められた事例も散見される。また、自主的避難等対象区域からの避難であっても、過酷な避難の場合には賠償額を増額する事例も見られる。被害者一人ひとりの被害に応じた損害賠償が実現されるまで、こうした動向につき情報を共有するとともに、支援が必要である。

当会は、東日本大震災及び原発事故から14年を迎える本日、被災者・被害者一人ひとりの「人間の復興」を目指し、一人ひとりへ寄り添い、支援を継続していく決意を改めて表明するものである。

2025年(令和7年)3月11日
福島県弁護士会
会長   鈴 木 靖 裕

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